【内閣府】中央防災会議

内閣府の防災情報のサイトにある中央防災会議のページでは、これまでの議事要旨・議事録などが公開されています。

中央防災会議‐内閣府防災情報のページ

中央防災会議は、内閣の重要政策に関する会議の一つとして、内閣総理大臣をはじめとする全閣僚、指定公共機関の代表者及び学識経験者により構成されており、防災基本計画の作成や、防災に関する重要事項の審議等を行っています。

最近では、「古文書に記載されているような、データの少ない最大クラスの災害も考慮する」、津波が発生するときの減災を目指し「5分で避難できるまちづくり」などが今後の防災のしくみづくりの方針とされたことがニュースとなっています。

釜石港を襲った津波高の数値シミュレーション(平成23年4月1日発表)

2011年4月1日、国土交通省港湾局、独立行政法人港湾空港技術研究所及び国土総合技術研究所による、釜石港における被災原因を検証するため、数値計算(数値シミュレーション)により被災過程を再現データが公表されています。

釜石港における津波による被災過程を検証 | 独立行政法人 港湾空港技術研究所

釜石港内の津波高:防波堤が無かった場合/有った場合の比較
津波高の低減: 13.7m → 8.0m(津波高を4割低減)
浸水域の低減: 20.2m → 10.0m(最大遡上高を5割低減)
水位上昇を遅延:津波高が市街地を守る防潮堤(高さ4.0m)を超えるまでの時間を6分間遅らせた。

釜石港沖合のGPS波浪計で観測した津波波形を元に数値計算を行っているとのこと。釜石港周辺の浸水域及び浸水高(最大値)は現地での実測結果とほぼ一致しており、再現性が確認されているそうです。

詳細な報告内容はPDFでダウンロードできます。
津波の威力が生々しく伝わってくる報告です。

【名古屋大学】減災連携研究センター

名古屋大学が2010年12月に立ち上げた、減災連携研究センターのサイトをご紹介します。

減災連携研究センター

安全安心宣言
東海、東南海、南海地震や、豪雨・台風などの自然災害による被害を最小限に抑えるための中京圏の連携・減災プロジェクトです。

この名古屋大学の減災連携研究センターは、東海地方で警戒が呼びかけられている東海、東南海、南海の3連動地震などによる巨大災害や、近年頻発している風水害に対する中京圏の連携・減災を考えていくプロジェクトだそうです。

産官学民の様々な地域密着型の連携をとっていくことにより、災害発生時の被害を軽減していくための戦略について、研究や人材育成などを通じて構築していくことを目指しているとのこと。

現時点では、中京地域で開催される、セミナー、シンポジウムなどの情報が多数発信されています。

【言葉】リジリエンスとは:「災害に負けない社会」を作り出す新しいキーワード

日本では、東日本大震災以降、『リジリエンス』という言葉が注目されつつあるそうです。

「災害に負けない社会」を作り出す 新しいキーワード「リジリエンス」とは?:日経ビジネスオンライン

 日本はもともと防災への関心が高い国です。特に木造建築が多いこともあって火災が多く、「防災」と「火災対策」が同義に使われることが基本的に多かった。それが1970年代に入って、将来発生が危惧される東海地震への対策が大きな関心を集め、「地震に対する防災」が注目されていったのです。これが第2世代ですね。地震という特定のハザードが確定すると、それに対して社会や組織の弱点も同時にクリアになってくる。その弱点をなくしていこうとする研究です。施設を強くすることに重きが置かれました。

この記事によると、上記のこれまでの考え方が崩れたのが2001年9月11日の同時多発テロ。その後、SARS(重症急性呼吸器症候群)や新型インフルエンザの流行で多くの人が倒れ、さらには大震災がきっかけで放射能汚染という、リスクに取り囲まれていることを、世界中の人々が認識させられました。

今までのように「災害に強い」という考え方では、とてもやっていけない。むしろ「災害に負けない」という考え方が重要となってきたそうです。そして、これが第3世代の防災研究のもととなっているとのこと。

 状況の変化に応じてリスクをいつも再評価しながら、そのなかで非常に重大なリスクについては、被害を出さないような予防対策を加えていく。しかしそれ以外のリスクの推定や予防には限界があるわけだから、それを越えたものについては回復力で乗り切っていく。

このような力を発揮する全体構造のようなものを「リジリエンス」「地域の防災力」「しなやかな社会」というそうです。社会の全体のことを考えると、自分たちの生活とは無縁のように感じます。でも、もしもの場合、何を継続すべきか(何を守っていくのか)、どうやって継続する(守るのか)、それを考えることからリジリエンスを理解することができるのかしら、と思いました。

【報道】東日本大震災アーカイブプロジェクト「みちのく震録伝(しんろくでん)」始動

東北大学防災科学研究拠点の東日本大震災アーカイブプロジェクト「みちのく震録伝(しんろくでん)」が、文部科学省や日本IBMなど産学官連携で本格始動したことが報道されています。

ロボットポータル-ロボナブル-東北大、震災アーカイブプロ始動、情報基盤システムの構築へ

 東北大学防災科学研究拠点は、文部科学省や日本IBMなど産学官連携で、東日本大震災アーカイブプロジェクト「みちのく震録伝(しんろくでん)」を本格始動した。震災の多様・大量の記録を収集し、東海大地震などの対策に生かす情報基盤システムを構築。これをもとに行政や企業の防災・減災システムとの連動、防災教育の情報提供、地震・津波災害の研究支援などを手がけていく。

 みちのく震録伝は、次の5つから構成されるとのこと。

  • 「基盤システム」
    災害の記憶や記録、事例、知見を記録する
  • 「SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)」
  • 「アーカイブ基盤を社会展開するシステム群」
    アーカイブ基盤を利用し、かつ復興・防災・減災コミュニティ形成に役立てる
  • 「外部連携」
    公開APIを介して、派生的に検索および横断的な連携をする
  • 「研究支援」
    シミュレーションや分析、解析等の支援を行う

 期間は10年間。これらの機能により、災害発生以降の被災地の復旧復興を時間的に、また東北地方の沿岸部から内陸部まで空間的に記録し、発信し続けるそうです。

さらにここから復興・防災・減災コミュニティを形成するSNSを展開。さらに、公開したAPIを介して自治体、企業、観光産業、教育機関などでの社会展開、シミュレーションや分析・解析の研究支援などを展開するとか。

今後の災害での防災・減災へ生かされることが期待されます。

【報道】東北大が災害研設置へ:復興や減災研究

東北大学で「災害科学国際研究所」が設置されることが発表されたと読売新聞に掲載されています。

震災教訓に、復興や減災研究…東北大が災害研設置へ : 震災情報 : 東日本大震災 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 東北大の井上明久学長は13日、「災害科学国際研究所」を来年度に設置すると発表した。

 研究者が文系、理系の枠を超えて結集。大震災で得られた知識や教訓に基づき、被災地の復興や国内で起きる可能性がある災害の被害軽減に向けて研究する拠点となる。

 リスク研究や都市再生、災害医学など6部門からなり、専任と兼任合わせて、国内外の研究者80人を配置する。津波と噴火などの複合災害、被災地支援、災害対応の医療を主なテーマとする予定。国内外の研究機関や被災自治体と連携する。

文系・理系の枠を越え、国内外の研究機関や被災自治体と連携するとのこと。

近年、 869年の貞観津波や1611年の慶長津波などのこれまであまり知られていなかった歴史的な災害についても明らかになってきています。人々の記憶に残る被災の経験とあわせ、今後の復興、防災、減災に役立つ研究となることが期待されます。