【解説】都心オフィス、鍵は「防災」 2012年大量供給で競争激化

都心の大型ビルがぞくぞく完成し、オフィススペースの供給が一挙に増えるとして話題になっている「2012年問題」。熾烈な競争が予想されていますが、東日本大震災を受けて、耐震性能や非常用電源などの防災機能の有無も、ビル選び、オフィス選択のポイントとして大きな割合を占めるようになったそうです。

都心オフィス、鍵は「防災」 2012年大量供給で競争激化 (1/3ページ) – SankeiBiz(サンケイビズ)

 3月の震災を受けても大規模供給となるのは、防災面で劣る老朽ビルから最新の物件への移転が広がり、新築ビルの需要が拡大すると判断しているからだ。このため、震災後も新築ビルの計画を見直す動きはない。

 「震災後、耐震性に優れた新築ビルに対する引き合いが急増している」。こう話すのは三菱地所の壇野博専務執行役員だ。

 同社のビル営業部門には6月ごろから、建物の耐震性や非常用電源の確保などへの問い合わせが急速に増えた。震災時にはビルが大きく揺れたり、停電でエレベーターが長時間機能しなかったビルの入居企業が、災害時の事業継続の観点から防災性能に優れたビルへの移転を検討し始めたためという。

地震や災害に強いビルに人気が集まる反面、新築への移転で空室となる可能性が高い防災機能に劣る老朽ビルでは、防災面でのメリットがなく、勝負のポイントは値下げ以外にないそうです。このため、アナリストの分析では防災機能が賃料や空室率を大きく左右する「二極化が広がる可能性が高い」そうです。

利用者から見れば、高層のビルでは地震への備えが非常に気になります。ちょっとした揺れにも、恐怖を感じることさえあります。地震発生後も、継続して業務を行うことも念頭にオフィスを選べば、免震・制震の構造の有無が注目されるのも当然でしょうね。

このために、老朽ビルの空室、さらには経営難となったビルがどのように扱われるかは、不安ですね。

【住まい】マンション地震防災奮闘記 – マンション・ラボ連載

マンションのライフスタイル総合情報サイト『マンション・ラボ』にて、2011年xx月xx日に起こった大地震によって被害を受けたマンションの住人が、理事会役員となり防災担当者として奮闘する架空のストーリーが連載されています。

マンション地震防災奮闘記 | 防災・防犯 | マンション・ラボ

都心の超高層マンションに家族3人で暮らす伊東。何の不安もない幸せな日々が、突如起こった大地震によって一変する。帰宅困難、高層マンション故の被害…。

そんな状況のなか、理事会役員の順番となり、しかも防災担当者として任命されてしまう。防災意識の低い住民、責任の重い任務と非協力的な理事会メンバーたち。四面楚歌で救いが見出せない状況から、仕事のスキルを活かして一部の協力的な仲間たちとともに、「最高の防災力を備えるマンションをつくる」という目的に向かって邁進していく、素人防災担当者の奮闘記。

というあらすじのノンフィクション。

仕事で訪れたある展示会の会場で地震に遭い、激しい液状化、火災を目の当たりにした主人公。多くの帰宅困難者がそうであったように、なかなかつながらない携帯での家族の安否確認に苦戦する。マンションに帰り着いたあとは、エレベータが止まってしまって、自宅に帰れない住民のあふれるエントランスを目の当たりにし、高層マンションならではの被害に立ち向かうことになります。

現時点では連載はそんな内容まで。その後、理事会役員となり、防災担当者として奮闘する姿はこれから。なかなかの長編になるのではないでしょうか。

臨場感のある描写で、思わず読み込んでしまいます。参考になることも多いのではないかと期待しています。

【報道】中央防災会議〜5分以内に避難できる街を〜

東日本大震災を受けて地震・津波対策を検討している中央防災会議の専門調査会では、2011年9月24日に会合を開き、この意見を踏まえ28日に最終報告書として防災相に手渡すことにしているとの報道がありました。

原則として5分程度で避難を完了できる街づくりを目指すべきとの意見で一致しているとのこと。

5分以内に避難できる街を~中央防災会議 | 日テレNEWS24

 また、今後発生が予想される東海、東南海、南海地震では、地震発生後5分から10分程度で大津波が太平洋沿岸に押し寄せる可能性がある。このため、「原則として5分程度で高台や安全な避難ビルへ逃げることができる街づくりを目指すべき」と報告書に記載することで意見が一致した。

東日本大震災では、避難途中に渋滞に巻き込まれて多くの人が死亡したことから、これまで原則禁止としていた自動車を使った避難方法について議論が重ねられたとのこと。しかし、地域によっては車を使わないと早く避難できない場所もあることから、自治体ごとにさらに議論を重ねることが必要との意見が出されたそうです。

すれ違いができないような狭い道が入り組んでいる町もあります。そんな中に住んでいる高齢者、障がい者の避難方法を考えると、自動車の利用も考慮の上、検討していただきたいと思います。